ぼんじゅうる氏初のソロトークイベント、『ぼんさんぽ in 有楽町』が2024年1月8日に開催された。
本イベントでは、ゲーム実況グループ『ドズル社』のぼんじゅうる氏がゲーム画面を飛び出し、“ぼんさんの初めて”をテーマに、ソロトークやわんこそば対決といったコンテンツを披露した。本稿ではこのイベントの模様をリポートしていく。
なお内容はあくまでライターの主観であり、ドズル社公式の意見とは無関係なことをお伝えしておく。(ponta)
開幕前
ヒューリックホール東京は、800人が収容可能な大会場であるにも関わらず『ぼんさんぽ in 有楽町』のチケットはあっという間に売り切れた。
ぼんじゅうる氏がその人気ぶりを見せつけた形である。
当日、筆者が14時ごろ会場に足を踏み入れてまず目にしたのが、グッズを求めて並ぶ、200人にも及ぶ長蛇の列だった。15:30まではチケットの有無に関係なく誰でも購入可能とのことで、「チケットは手に入らなかったけれど、せめてグッズだけでもと思って、来ました」という方もちらほらいた。
ぼんじゅうるカラーの紫をマフラーやスカート、バッグなどで身に着けた人も多い。実に華やかである。
会場にはフォトスポットも併設され、買い物を終えた人がぼんじゅうる氏のパネルの前でかわるがわる写真を撮っていった。
中には「私たち、今日初めて会ったんです。もともとSNSでは知り合いだったんですけど」というグループもあり、ぼんじゅうる氏によって紡がれた縁を間近で見ることができた。
すると突然、グッズ売り場の待ち列の先頭で歓声が上がった。見ればそこにはドズル氏が立っていた。
「今日はありがとうございますー!」とあの声、あの笑顔でファンサに勤めるロジカルゴリラ社長。これは嬉しい。待ち時間をただの待ち時間にしない心配りが、憎い。
裏口から会場に入らせてもらうと、広さと天井の高さに圧倒される。
本日の主役、ぼんじゅうる氏は壇上でスタッフと打ち合わせ中であった。
緊張していますか?と聞いたところ、「ぜんぜん?」と余裕の表情。
12月まで放送されていた番組『今からおみやげ買ってこい!』において「プレッシャーに弱いといえばぼんじゅうる。ぼんじゅうるといえばプレッシャーに弱い」とまでうたわれた男には思えない、自信に満ちた表情を浮かべている。
さぞや綿密で分厚い台本が用意されてるのだろうな…と思い見せてもらうと、1枚のA4用紙が一枚、机の上に置かれているだけだった。うっすー。
そこにはわずかに「トークテーマ」「わんこそば対決」といったレジュメレベルのことしか書かれていない。
大丈夫ですか?と聞くも「大丈夫よ、大丈夫」と強気のサングラス。
客席に回って、スタッフにわんこそばリハの指示だしをする背中が頼もしい。
とはいえ、ぼんじゅうる氏はともかく、制作スタッフさんの経験は豊富であろうと思われる。スタッフさんにそのあたりを尋ねると
「いや~。長年この仕事やってますけど。わんこそばやろうなんて言われたの、ぼんさんが初めてっすね~!ハハッ」
おい、初めてじゃねーか。
「むしろ何か起きてほしいですね!何か起きる方がおもろいじゃないっすか!」
このスタッフ、ノリノリである。
現場監督は「大丈夫、ぼんじゅうるさんのすべてを僕たちが受け止めますから」と親指を立ててみせる。まさにプロフェッショナルといえる。
それを見たぼんじゅうる氏は「ピンチになったら…頼みます」と急に弱気になっている。
おいさっきの自信はどーした。
そしてぼんじゅうる氏はおもむろに椅子から立ち上がり、声を張り上げる。
「最高のライブにしましょう!」
前フリなしの突然の激励に、スタッフ1人、2人から「お…おーう…?」と声がかえるのみである。
それを見たぼんじゅうる氏は満足げな表情でうなずきながら、ゆうゆうと楽屋に戻っていく。絶好調だ。
楽屋には、本日のゲストのヒカックさんとコハロンさんが椅子に腰かけていた。
本日のわんこソバの対戦相手である。
豪華ゲストのお二人だが、彼らの出番は最後の最後、わんこソバ対決だけとのこと。
「主役はぼんさんですから、僕らはわんこソバまで、バレないように客席で座ってます」。
いやバレないのは無理じゃないっすかね…。特にコハロンさん。
そこに、ファンサを終えたドズル氏が、リハのために楽屋に戻ってきた。
ぼんじゅうる氏は「ドズさん、なんでわんこそば対決があるお昼にソバを食べるのよ」ともっともな質問をぶつける。
ドズル氏は微笑しながら「確かに、お昼に食べた天ぷらそば大盛りが、まだ胃に残ってますね。でも胃をソバに慣らしておきたかったんです」と反論している。
ロジカルゴリラのロジカル部分が虫食いにでもあったのだろうか。
そんなリラックスムードの演者たちに対して、楽屋の隅にたたずむたいきち氏は、少し固い表情をしていた。元テレビアナウンサーのキャリアを持つ百戦錬磨の彼にしては珍しいことである。
「大丈夫ですか?」と声をかけると「緊張してます。だってついさっき急にわんこそばの実況をしてくれって言われたんですよ」
「急に言われたっていうのは朝ですか?」とたずねる筆者にたいきち氏は黙って、本イベント担当者のドズル社社員、ぱるぱるさんとのDMを私に見せる。
1時間前じゃねーか。
ドズル氏によれば「だって僕らがソバを食べてたら、誰もしゃべれないですからね」とのこと。
その通りすぎる。
とはいえ、このライブ感こそが『ぼんさんぽ』のだいご味といえよう。
そうこうしているうちにリハも終わり、ついに開演時間である。客席は整然と、しかし急速に埋まり始める。
出演直前のぼんじゅうる氏に「いまのお気持ちは?」と聞いてはみたが「そうして、僕を緊張させようとしてるでしょ?ヤダヤダ。お~ヤダ」とのことであった。
筆者は客席に座り開始時間を待った。
かくしてぼんじゅうる氏の初のトークイベント、「ぼんさんぽ in 有楽町」の幕は上がったのである。
▼オープニング、そしてトークテーマ
まずはこちらのオープニングムービーが流れ、客席の期待はいやがおうにも高まる。
暗転した舞台上のスポットライトの場所へ、ぬるりと進んだぼんじゅうる氏。眉間にしわを寄せて、猫背で会場への挨拶。「みなさん~…。」
なんと古畑任三郎の物まねである。
若い子は元ネタわからんだろ…。とアラフォー客たちが内心ツッコむ中、「散歩といえばみなさんは何を思い浮かべますか~…日本で西郷隆盛がはじめたと言われています…」という真偽不明の豆知識を披露する。
そして「みなさんに謝らなければならないことがあります。ぼんさんぽなのに…ここまでタクシーで来ました…!」とのジョークで会場爆笑。つかみはOKである。
スタッフから自撮り棒を受け取ったぼんじゅうる氏。客席をバックに写真撮影をはじめた。
通常、この手の記念撮影はラストが定番ではあるが、デキる男ぼんじゅうるは初っ端に済ませてしまうのである。
そのあと巨大なスクリーンにトークテーマ11個が映し出された。
どうやらこのテーマにそってぼんじゅうる氏は小言を言い続けるようだ。
「トークテーマ、1番、たこ焼き」
「たこ焼きって…熱すぎない!?」
「マヨネーズも、冷やすために使ってるところあるよね!?」
「…まあ、それだけなんだけど」
「あとトンネルって…怖いよね!?」
話が膨らむ間もなく、みずからしぼませていくスタイル。
正直、聴衆も共感はしているのだが、オフラインイベントなだけにそれを壇上の彼に伝える手段はない。
ぼんじゅうる氏も「今日はこんな調子で11個いくからね!?」とやや不安を隠しきれない様子。
しかし「今日はチャットがないから、どんどん話かけてね!それがチャットだから!むしろ歓迎!」というインタラクティブシステムを発明してからは、客席から掛け声が飛び出しはじめ、場がだんだん温まっていく。
ぼんじゅうる氏
「ざるって、洗うとき、詰まるよね」
観客
「詰まるー!」
かくしてトークテーマを軽快に消化していくぼんじゅうる氏。
イベント用ペンライトをYES/NOのアンケート代わりに使うことをおぼえるなど、イベント中にも決して、進化をやめようとしない。
ところが、テーマの70%を消化したところでぼんじゅうる氏は重大なことに気づく。
「俺、このトークテーマで1時間やる予定なんだけど、まだ20分しか経ってない…」
すかさず、客席から「ゆっくりしゃべったらどうですか?」との提案が持ち上がる。
ぼんじゅうる氏はにやりと笑い、客席を指さす。「天才」。
天才のハードルが、低い。
その後はテンポをつかんだのか、一つ一つのテーマをさらに深く掘り下げる形で進行していく。
さつまいもの大きさがバラバラなことを嘆いたあと、客席から品種が複数あることを教えてもらい心底感心するぼんじゅうる氏。
品種名を客席の声から聞き取れず、各列にせーので教示してもらうことに。
1列目
「安納芋!」
2列目
「シルクスイート!」
3列目
「紅はるか!」
この日はアメリカからにかけつけた人もいたとのこと、しかしまさか推しのトークイベントに来ておいて、芋の種類を全力で叫ぶことになるとは思っていなかったろう。会場の雰囲気もほっかほかだ。芋だけに。
そうして11個のテーマが終わったあとは、手持ちのネタ(小言)を披露し、最後に観客から集めたお便りを読み上げる。
その中に、“ぼんさんのいつもの挨拶”へのリクエストがあった。
壇上のぼんじゅうる氏は姿勢を正すと、おもむろに叫ぶ。
「ぼんじゅうる!ぼんじゅうるだ!どーもでーす!」
その後も客席からさまざまなリクエストが飛びかい、つど全力で応えていく。
「ドーズールさん!マイクラしーましょ!」
「一旦八本一反木綿!」
「あなたの足元照らします。松明太郎でございます」
「ライジングサーン!」
これまで、画面越しでしか聞いたことがなかった名言を、きょうその場で聞けたことによる謎の感動に会場は包まれた。
その後、「ぼんさんは理想のイケオジです」などのお便りもあり、ぼんじゅうる氏は耳を赤くしながら「チヤホヤしすぎだよ…」と小声で照れていた。
▼“ぼんさんのはじめて”
その後、あるなしクイズを経て、本日のテーマである“ぼんさん初めて”のコーナーになった。
一つ目の“初めて”はタロットカード占い。ルールはまったく知らないとのことで、「ノリでやるよ」と言いながら相棒としてたいきち氏を壇上に呼び寄せる。
タロットカードを揉むように切ったあと、“棒”、“とんがりコーン”などの謎のカードを引きあて、たいきち氏の今年の運勢を占っていく。
最後の金運では「がんばれば、ボーナスがもらえる」という結果を出されたたいきち氏の2024年に幸あれ。
次に行われた“初めて”は相性占い。会場内でカップルを見つけてステージ上に引っ張り上げ、エピソードを聞いた後、トランプを引いてもらい、相性度をぼんじゅうる氏が判定する仕組みだ。
トランプで13と3をカップルが引いた場合、相性度が133%と占われる、わかりやすいルールである。よしんば低めの数字が出ても、カードをさらに足すことでふたりの相性度をぶち上げる掟破りのストロングスタイルであり、そこにぼんじゅうる氏の優しさがかいま見えたのであった。
▼わんこそば対決
そして本日のメインイベント、3つめの“初めて”であるわんこそば対決となり、それまで客席に座っていたドズル氏、ヒカック氏、コハロン氏が満を持して壇上に上がってきた。
ちなみにわんこそばとは、椀に一口そばを次々に給仕し、客が椀にふたをするまで続ける岩手県の名物である。本日は最も多くの椀を食べた人が優勝というルールになっている。
対戦前にペンライトを使った事前予想が行われ、一番人気はその体格を買われたコハロン氏、次いでの2位は唯一のわんこそば経験者、ヒカック氏であった。
この世紀の決戦の実況は、たいきち氏がつとめた。
事前に仕込んでおいたインタビューなどの情報を読み上げつつ、随所に“当日のツイートいじり”などをまぎれさせるプロの業で、客席を大いに盛り上げた。
肝心のわんこそば対決は序盤からコハロン氏の快調ぶりが目立ち、逆にぼんじゅうる氏の遅れは早々に目立ち始めた。
10杯目くらいからペースが明らかに遅くなり、やっとの思いで椀を空ける様子が目立ち始める。
肘をついて食べ始めてたいきち氏に注意されたり、立ち上がって飛び跳ねつつ胃の下にそばを落とそうとするなど、「満腹なんだろうな」感が全身より伝わってくる。
次に様子がおかしくなったのはドズル氏で、しきりに左横のヒカック氏、コハロン氏の方を横目でチラ見しつつ、自分のわんこそばに集中できていない様子である。
そして最初にギブアップしたのは案の上、ぼんじゅうる氏で白いフタを閉めてギブアップの意思を示した。
ドズル氏がフタを隠したり、スタッフさんが一度閉めたフタを開けてさらに追加するなどのイタズラもあったのはご愛敬である。ぼんさん本人は必死だったけど。
その次にフタを閉めたのはドズル氏で、お昼に食べた天ぷらそば大盛りの呪縛は抜け切れていなかったようにも見えた。おい何やってんだ。
ヒカック氏は全身から品の良さのにじみ出る所作の美しさにより「親御さんの教育が良かったんだろうなあ」と思いながらほっこりと見ていた。
唯一、その食事風景が乱れたのは実況で、「成人式ツイートで20歳当時の写真で承認欲求を満たしたヒカックー!」といじられ、そばを吹き出しかけたときだけであった。
若手の2人、最後の死闘を制したのはコハロン氏で、結果はぼんじゅうる氏40杯、ドズル氏51杯、ヒカック氏は68杯、そして優勝者のコハロン氏はなんと84杯であった。
リアルジェスチャーこみで「あなたの心に直下掘り」を披露し場を盛り上げたコハロン氏の、コハさんぽが待たれるところである。
余談ながら、ヒカック氏のみならず全員、食べ方が美しく、大食い対決にありがちな見苦しい点はまったくなかったことを付記しておく。
エンディング。そして伝説へ…
ゲストがはけ、1人ステージ上に残ったぼんじゅうる氏は、お腹が明らかにふくらみ冒頭のころの動きのキレを失っている。「わんこそばが最初だったら終わってたわ」と本人が言うように、ラストに対決を持ってきた構成の勝利といえよう。
エンディングでは「ちょっとしたちょっと発表」としてぼんじゅうる氏のLINEスタンプの発表がされた。
そして発砲音とともに特製銀テープが撒かれ、ぼんじゅうる氏の初のトークイベント『ぼんさんぽ in 有楽町』は大成功に終わったのであった。
その後、楽屋にお邪魔した筆者の目に、ホワイトボードに書かれた ハッシュタグ(#ぼんさんぽ有楽町)が飛び込んできた。メモ代わりであろうか。
最初から最後まで自由に、楽しそうに、そして彼らしくやりとげたぼんじゅうる氏。
それが成功だった証は、ロビーに溢れる笑顔の観客の姿にほかならない。
終了後もファンアートがX(Twitter)上に溢れ、その感動と興奮をファン同士で共有しあっていた。
台本があんなに薄かったのに、筋書きのないイベントだったのに、こんなに楽しくて、面白いイベントにするのは卑怯としか言いようがない。
さすがはぼんじゅうる。(心やさしい)卑怯者であるといえよう。
終わり
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