【イベントレポート】ドズル社5周年フェス

ドズル社メンバーによる初の単独オフラインイベントが、東京ドームシティのプリズムホールにて2025年12月13日・14日の2日間、全6公演が開催された。
本稿では、このイベントの模様をレポートしていく。
なお内容はあくまでライターの主観であり、ドズル社公式の意見とは無関係なことをお伝えしておく。(ponta)
筆者が東京ドームシティに足を踏み入れると、まずバイキングゾーン芝生広場に立つ大きな看板が目に飛び込んできた。

そう、東京ドームシティでは、ドズル社の結成5周年を記念したコラボイベント
『時を駆けるドズル社 失われた記憶』 が、2026年1月4日(日)までの期間限定で開催されているのである。
「バックダーン」などのアトラクションでは、ドズル社メンバーのオリジナルボイスも流れており、なにか、不思議な気持ちに襲われた。
今日と明日の舞台となるプリズムホールに足を向けると、すでに長蛇の列ができている。
12月、吐く息も白くなる朝の寒さの中、それでも並ぶお客さんたちの表情は、期待に満ちた笑顔ばかりであった。
列の長さは数百メートルに達している。

「プリズムホールって、人が集まるんだなあ」と感心していると、通りすがりの別のお店のスタッフさんたちがその光景を見るなり「今日、すごいね。こんなの初めて見た」と驚いた様子で声を漏らしている。
それを聞き「特別にすごいんだなあ」と思うなどした。
セレモニーエリアに足を踏み入れると、そこには多彩なコンテンツが用意されていた。
▼ドズル社5周年くじ

▼時を駆けるドズル社 名場面シーンのイラスト展示

▼YouTuber仲間からのお祝いメッセージコーナー

▼ドズル社メンバーからの感謝メッセージ

▼オーブをイメージしたモニュメント&来場者のメッセージ貼り付け装飾

▼チンチロ

▼フォトスポット

なかでも特に印象に残ったのは「くじ」である。
「ぼんさんぽ」で瞬時に売り切れてしまった反省を活かし、今回は十分な数が用意されており、終始行列の絶えない人気コーナーとなっていた。
そしてくじの「特賞」は、なんと「きぐるみドズル社」独り占めタイム。
きぐるみ5人に囲まれて写真を撮ったり、戯れたり、招待状やお土産を受け取ったりと、まさに夢のような時間だ。
「きぐるみドズル社」と一緒にすごす来場者の、心からの笑顔が強く印象に残ったのであった。

ひととおりセレモニーエリアを見終わったあと、楽屋に入らせてもらうと、ぼんじゅうる氏の姿がまず目に入った。
「緊張してます?」と声をかけると余裕の笑みで「まったくしてない。だって、ラジオだから。ドズぼんラジオが最初だから緊張していないのよ」と答えてくれた。
緊張しがちなぼんじゅうる氏にしては、珍しいほど落ち着いた佇まいだ。
『ドズぼんラジオ』とは、ドズルとぼんじゅうるの二人がひたすら語り尽くす名物番組の名称である。2018年から2025年まで、実に7年間にわたり、放送されてきた歴史がある。

現在は休止中ではあるものの、この番組は二人にとって、まさにホームグラウンドのような場所といえよう。
なるほど、ぼんじゅうる氏にとってドズぼんラジオは、いわゆる“実家のような安心感”のコンテンツなのだろう。
すると楽屋の入り口から、「おはようございまーす!」という元気な声が響いた。
振り向くまでもなくわかる、その声はドズル社のリーダー、そして「ドズぼんラジオ」の相方でもあるドズル氏だった。
「今日は社運をかけてますからね! でも、楽しんでいきます!」
そう言いながら彼が部屋に入ってくると、まるで室温が10度ほど上がったかのように感じられた。それほどまでに、彼の放つ熱気は圧倒的だ。
その熱はスタッフにも伝播し、楽屋全体の空気が一気に活気づいた。12月の寒さがまるでどこかに吹き飛んだかのようだ。
頼もしい彼の背中を見送ったあと、ふと振り返ると、肩をすぼめて小さく歩くおんりー氏の姿があった。
「いやー、寒いですね……。」
寒いんかい。
そんな温度差はありつつも、本番の時刻は着実に近づいていく。
客席に座ってしばらくすると、場内アナウンスが流れだした。
ドズル氏とぼんじゅうる氏の登場を盛り上げるための前説はなんと、ドズル氏本人であった。

「こういうので本人が登場するのってあんまり聞いたことないですね」と手慣れたアナウンスで笑いを取りつつ、お客さんに積極的な声出しを求めていた。
そんな前説後、本番が始まり、ぼんじゅうる氏と、ふたたびドズル氏の登場で2Days 6公演の幕はきって落とされた。
【13日 1部】ドズル社5周年フェス ドズぼんラジオ in 東京ドームシティ

ステージに立つ、ドズぼんの二人。
歓声が鳴りやまぬ中、ドズル氏はぼんじゅうる氏にまず水を向ける。
「ドズぼんラジオが今回の6公演のトップバッターということで、どうですか。意気込みのほうは?」
「えー。非常に感慨深い。感慨深い。 感慨深いです…!」
なぜ3回言った。

さらには「5周年のイベントのトップバッターに選ばれるなんて。ここでこけたら終わりですから」と、縁起でもないことを付け加える。
そうしているうちに、ラジオ番組を思わせる机や椅子、レコードプレイヤーなどのセットが運び込まれてきた。
生放送でおなじみの“あのセット”の再現に、客席からは思わず喜びの声が上がる。
ドズル氏も「いいですね。座りますね。やっぱり立ってラジオやること、あんまないですからね」とご満悦だ。

そしてお決まりの「真夜中のミッドナイ!」で始めようとしたもののぼんじゅうる氏から、「土曜のお昼だから。全然違う。全然違うのよ」とツッコミが入る。
これにはドズル氏もまあそうですけれどもという顔をしつつも「水曜の深夜だと思ってください!」と前置きしたうえで、あらためて口上を述べる。
「みなさん、お疲れ様でございます。真夜中の…ミッドナイ!水曜から夜更かし、深夜のドズぼんラジオのお時間がやってまいりました。今夜もね、1時間たっぷり、皆さんと一緒におしゃべりしていきたいと思います!」
こうして、会場が一気に“あの時間”へと引き戻される中、二人はまったく肩ひじ張らない様子で、番組はいつもの調子にて幕を開けたのだった。
話題はマクドナルドコラボの話から始まり、昔は緊張して楽屋で正座していたおおはらMEN氏がいまやリラックスの極みで楽屋にゲーミングPCを持ち込んでゲームを遊んでいる話、ぼんじゅうる氏が毎回自分のグッズをもらう理由は母親や親戚が喜ぶからといった意外に親孝行な一面を見せたり、おらふくんの副業疑惑、ナマケモノや大富豪おじいちゃんといった2025年に登場したキャラの振り返りなどが語られた。

特に印象的だったのは、出会った当時の年齢(28歳と38歳)について語られた場面だ。
ドズル氏が「あのころ、あんなに、お……お兄さんだったぼんさんが、今の僕よりふたつ上になったんですね」と、言葉を慎重に選びながら口にした。
その独特の間に対して観客は「いま“おじさん”と言おうとした!」「いまの間は、完全に言葉を選んだ間だ!」といった声なき声が生まれ、会場中が一体になり良かった。
こういうライブ感は、現場ならではのものだろう。
そろそろ終了の時間が近づいたころになり、ドズルはしんみりと語りだす。
「この『ドズぼんラジオ』は、今年は少しお休み期間に入りましたけど、こうしてまたラジオができたのはよかったですね。これからは“きっちり定期”ではなく、不定期でもいいから続けていきましょう」
そしてぼんじゅうる氏は、「来年も、一回はやりましょう。一回はね」と付け加えつつ、「七夕の織姫と彦星」になぞらえた締めを試みるも、会場に伝わり切らず、反応はいまひとつであった。
最後はその反応をくつがえすかのようにドズぼんのグッズをかけたじゃんけん大会で大いに盛り上がり、ファンの深い満足感に包まれたまま、公演一つ目は幕を閉じたのであった。

【13日 2部】ドズル社5周年フェス ドズル社 vs QuizKnock(ガチ)

「ドズル社」と、知的エンタメ集団「QuizKnock」が、東京ドームシティでクイズのガチ対決を繰り広げる本企画。
ドズル社側の演者はおんりー、おらふくん、おおはらMENの若手三人衆。
対するゲストはQuizKnock。須貝さん、東問(ひがしもん)さん、東言(ひがしごん)さんの3人が揃って登場すると、会場の空気はさらに盛り上がりを見せた。
まずはアイスブレイクとして、お互いに関するクイズが出題された。
ドズル社側に出されたのは、「双子の東問さんと東言さん、どっちが“モン”でどっちが“ゴン”?」という、間違えたら超失礼になりかねない、絶妙に嫌な質問だった。
しかしここで、おらふくんが「YouTubeショートで勉強してきました」と自信満々に回答し、見事正解。会場からは歓声が上がる。
一方、QuizKnock側には、ドズル社の日本語禁止企画から生まれた“迷言当て”が出題され、答えは「マイゴー」。
知らない人にとっては難易度の高い問題のはずだが、ロジカルなアプローチで着実に答えを導き出し、QuizKnockの高いクイズ力が早くも証明される形となった。
続くクイズでは、砂漠寺院の宝の内容や、村人の取引レベル判定など、Minecraftにおける“プレイ時間の差”が如実に表れる問題が続出。ここでドズル社が一気にリードを広げていく。
一方のQuizKnockも、 TNT=トリニトロトルエンといった化学系の問題では本領を発揮し、知的エンタメ集団の底力を見せつける。
激戦の末、最終結果は、地の利を存分に活かしたドズル社が33点を獲得し、勝利を収めることとなった。

そしてエンディングで、おらふくんから「クイズが強くなる秘訣は?」という質問が投げかけられると、返ってきたのは「好きなことは、遊んでいるうちに自然と覚えていく」という答えだった。
「学ぶことは決して苦しいものである必要はなく、楽しいと感じることの延長線上で、知識は自然と身についていく」というその言葉は、「人生というゲームをもっと楽しく」というドズル社のテーマとも深く通じ合う考え方と言えるだろう。
単なるクイズ力にとどまらない、QuizKnock側の知的好奇心と知識収集欲に裏打ちされた知性が垣間見える一幕だった。

そしてイベントは、勝ち負けを超えた和やかな空気に包まれたまま、幕を閉じたのであった。
【13日 3部】ドズル社5周年フェス 暴れ部ライブ

13日のトリを飾るのは、ぼんじゅうる・おらふくん・ネコおじの3人による『暴れ部ライブ』である。
「暴れ部」とは、撮影後に食事へ誘う際の「この後、暴れる?」という一言から生まれた、食事仲間のトリオ名だ。
開幕は、3人が伸びやかに歌い上げる『天体観測』。
その中で、おらふくんの透き通ったソロ部分の歌詞が会場に響いた瞬間、隣に座っていた女性が、そっと目じりをぬぐうのを、筆者は見逃さなかった。
会場は、青と紫、そして白のスティックライトに染め上げられていく。
歌い終わっても、歓声はしばらく鳴りやまない。その熱気の中で、おらふくんがぽつりと切り出す。

「今日はちょっとやりたいことがあって」
その一言を合図に、会場を巻き込んだコールアンドレスポンスが始まった。
「どーもみなさん」
「こんちゃっちゃ!」
「ぼんじゅーる!ぼんじゅうるだ!」
「どーもです!」
「お疲れ様です。ネコおじです」
「よっしゃー!」
フレディ・マーキュリーばりの会場コントロール。
その一体感に、メンバーも手応えを感じている様子である。
そして、いよいよソロパートへ。
おらふくんはさわやかに『Butter-Fly』を、ぼんじゅうる氏は艶っぽく『酔いどれ知らず』を、ネコおじが『よっしゃあ漢唄』を男くさく歌い上げる。

その後、中盤に差し掛かったところで流れたのが『グッジョイ!』。
そして歌うのはおんりー氏だ。
事前に公開されていなかったサプライズゲストの登場。
ひときわ大きい歓声は、少年のような伸びのある声と豊かな声量をあわせ持つ眼鏡のスピードスターに送られた。そして、会場中が一気に黄色に染めかわる。
早いな!

そして『青春アミーゴ』では、これまたサプライズゲストとしてドズル氏とぼんじゅうる氏が登場。
2人は背中合わせでデュエットを披露し、往年のドズぼんファンに歓喜の気持ちを味わわせてくれた。

筆者も思わず手を合わせ、神か仏か、はたまた誰かに「ありがとう」と言いたい気持ちでいっぱいになった。
そしてアンコールの『小さな恋のうた』が終わり、暗転し、舞台袖へと三人が姿を消す。
その直後、舞台裏から「せーの」の掛け声とともに、
「ありがとうございました!」
という3人の生の声が、会場いっぱいに響き渡った。
その意味に気づいた瞬間、客席からは悲鳴にも似た歓声が上がる。
ぼんさんぽなどで素顔や身体を人前に出してきたぼんじゅうる氏とは対照的に、おらふくんは、これまで画面の向こうのキャラクターとして存在してきた。
視聴者も観客も、どこか幻のような、触れられない存在。そんな印象を抱いていた人も多かったはずだ。
もちろん、今日ここにいたるまでステージ上で歌い上げられたあの声が、生身の人間のものであることに疑いはなかった。

しかし、最後に聞こえたあの声。「おらふくんの生の声を、生の耳で聞く」という体験は、今日この会場に集まった観客にとって、間違いなく初めての出来事だった。
おらふくんの実在を、確信として受け取った瞬間。
声が鼓膜を震わせたその瞬間、画面やスクリーンの向こうにいた存在が、観客一人ひとりに直接触れたといってもいいだろう。
数々の歌で心を震わせてきたこのライブ。最後に観客の心を大きく揺さぶったのは、紛れもなくこの「声」だったろう。
観客たちはきっと、今日この場にいられたことの意味を、すぐそばにおらふくんがいたことの意味を改めて噛みしめたことだろう。
事前の楽屋で「ドキドキというよりワクワクですね。みんなの前で歌を届けられるというのは」と言っていたおらふくん。その思いは届いただろうか。
暴れ部の3人とゲスト2名が歌い、全力で駆け抜けたこのライブは、「やっぱり歌はいいなあ」という確かな余韻を残して、幕を閉じたのであった。
『暴れ部ライブ』セットリスト
・天体観測(3人)
・Butter-Fly(おらふくん)
・酔いどれ知らず(ぼんじゅうる)
・よっしゃあ漢唄(ネコおじ)
・リンダリンダ(ぼんじゅうる)
・アゲハ蝶(ネコおじ)
・明日はきっといい日になる(おらふくん)
・グッジョイ!(おんりー)
・灰色と青(ぼんじゅうる/おらふくん)
・青春アミーゴ(ぼんじゅうる/ドズル)
・TRAIN-TRAIN(3人)
・小さな恋のうた(3人)
【14日 1部】参加者にこがせろ!チーム対抗、自家発電!

日にちも改まり、公演4つ目は『参加者にこがせろ!チーム対抗、自家発電!』である。
出演者は、ドズル・おんりー・おらふくん・おおはらMENの4名。
2025年、ドズル社メンバーの多くが「最もきつかった企画」としてその名を挙げる自家発電が、今回は会場参加型となって復活した形だ。

この企画は、観客が自転車をこいで発電し、その電力をメンバーに供給。メンバーは、その電力を使ってゲームをプレイするというものだ。
つまりこのゲームは、メンバーのゲームの技量が問われるのはもちろんだが、それ以前に参加者の脚力によって電力を確保できるかどうかが大前提となる。
その苦労を、メンバーは誰よりも知っている。なぜなら、この企画を初めてやったのは、ほかならぬ彼ら自身だからだ。
今、メンバーの胸中にあるのは、苦悩だろうか。それとも申し訳なさだろうか。
自分たちを、視聴者が支えてくれる。しかも物理的に。
そう考えると、心が痛んでいるのかもしれない。
人は、悲しみが多いほど、人に優しくなれるのだから……。
そんな中、ステージ上のドズルが高らかに叫ぶ。
「このステージ、僕たちが漕がなくていいっていうのが、すごく楽しみなんですよね~!」
おい、歯茎出てんじゃねーか。
とはいえタイトルコールの段階で、ドズル自身も「参加者にこがせっ……って、これ凄いタイトルですね」と、改めてその過酷さを自覚した様子ではあった。
ルールを整理しよう。
ゲームはスイカゲーム。電力供給先は以下の通り。
Nintendo Switch
ゲーム用モニター
漕ぎ手用の扇風機
ここでドズルから、「扇風機? これ、いらなくないですか?その電力、ゲームに回した方がいいでしょ」
というツッコミが入る。
しかしネコおじは、「いや、漕いでいるうちに暑くなるので必要です!!」と、断固として扇風機の重要性を主張する。
ちなみに、当日の東京の最高気温は7度であった。
扇風機ハンデを、まるで思いやりのようにすり替えてやがる。欺瞞だ。欺瞞。大問題ですよこれは。ええ声だからって何でも許されるわけじゃねーぞ。
そして百聞は一見にしかずというところで、米将軍氏とヒカック氏、そしてスタッフ(BON)による自家発電デモが始まる。

そして終了後。
「ちょっと……血の味がします。これ、覚悟した方がいいですね。並大抵の覚悟じゃ、無理かもしれない。」
会場がその恐ろしさを実感した瞬間だった。
そして本戦、30分間の自転車こぎ。
「無理しないで。少しでもキツかったら、交代していいから」
気遣うメンバーの言葉に、優しさがにじみ出る。
「無理はさせないようにしてるけど、無茶はけっこうさせてるのでは?」という思いが脳裏をよぎったが、そんなことをわざわざ言うのは、野暮な話であろう。
漕ぐ人、応援する人、待機する人。誰か一人でも止まれば、全員が止まる。
そんな状況の中でも、参加者たちは皆、楽しそうに全力を尽くしていた。

結果
おんおらチーム:2561点
ドズMENチーム:1759点
勝敗はついた。
とはいえ、誰一人怪我もなく、そしてメンバーのつらさを参加者と共有し合えたという点で、この企画は、全員が勝利、そして大成功といっていいのではないだろうか。
終了後、ドズルからは、「次は、参加者1,000人で漕いで電気自動車企画を動かす」という、とんでもなく不穏な冗談も飛び出しつつも、会場から「やりたい!」という大歓声が沸き起こるなど、リアルイベントの参加型企画は無限の拡張性を匂わせつつ、無事に終了したのであった。
【14日 2部】ドズル社5周年フェス ひりつきたい男たち in 東京ドームシティ

東京ドームシティに、ひりつきを求める男たちが集結した。
ドズル、ぼんじゅうる、ヒカック(まえよん)、そして米将軍(さんちゃんく!)である。
勝負は、サイコロを使ったゲーム「チンチロ」。
4人ともやる気は満々で、「絶対に負けない」「僕の辞書に負けという言葉はありません」と、強気な言葉をぶつけ合う。
しかし「自転車のデモをやりましてですね、もう疲弊しきっているんです」と謎の疲労アピールが始まり「事前に疲れさせようとしているんじゃないか」という疑惑まで飛び出し、舞台は一気に不穏な空気に包まれる。
ここで、ドズル社メンバーから緊張をほぐすための応援メッセージが寄せられた。
おおはらMEN氏も「自分に危害が及ばない場所から見るひりつきほど、面白いものはないんですわ」とのたまわり、おんりー氏も「出る側じゃなくて良かったなあ!」など煽っていくぅ。

ぼんじゅうるの「なにも応援じゃなかったです」という感想は、ごもっともと言わざるを得ないところである。
今回のチンチロでは、当然ながらリアル通貨は使用せず、「ドズゥ」と呼ばれるゲーム内通貨で勝負が行われる。
・1人20万ドズゥからスタート
・ベット上限なし
・ただし、手持ちが尽きた場合は借ドズゥシステムあり
さらに、下位2名には罰ゲームをかけた「ファイナルチンチロ」での差し勝負が待っている。
つまり、上位に入ればそのまま逃げ切り。下に落ちれば、最後に背中のすすけるようなタイマンチンチロが待っている、というわけだ。
罰ゲームは6種類。
もともとの海外ぶっ飛びに加え、楽屋で急きょ追加された「国内ぶっ飛び」もありという、地獄の二段構えである。
序盤は、米将軍氏とヒカック氏がリードする展開。
特に米将軍氏は6のゾロ目を出すなどの強運を見せ、大きなリードを築いていく。

一方で苦しい立場に追い込まれたのが、ドズル氏とぼんじゅうる氏。
結果、最初に持ちドズゥが尽きたのは、ドズル氏であった。
ここで登場する救済措置――借ドズゥシステム。
ドズゥを借りることはできるが、その代償として「即興ラップ」「一発ギャグ」「全力モノマネ」「苦いドリンク」「ゴムバット」などの罰ゲームを背負うことになる。

救済とは名ばかりの、骨身を削るトレードオフシステム。恥を忍んでラップを披露するドズルの勇姿はぜひPPVでご覧いただきたい。
中盤、状況は以下の通り。
・ドズル:-10万ドズゥ
・ぼんじゅうる:3万ドズゥ
・米将軍:53万ドズゥ
・ヒカック:40万ドズゥ
ドズル最下位の体たらくに「5周年フェスですよね。大丈夫ですか? ずっと借金してるあの社長」そんな煽りまで飛び出す始末である。
そして終盤、全員が「いくら持っているのかわからない」状態へと突入する。
それでも回る親番、跳ね上がるベット。
そんな中、徐々に運に見放され始める米将軍氏。
潮目が変わり始めた、その瞬間――奇跡が起こった。
起死回生のドズル。1のピンゾロ。
サイコロを3つ振ってすべて1が出る確率は、なんと0.46%。
その豪運を引き当て、会場は悲鳴と熱狂に包まれる。ドズルは会場中を絶叫しながら駆け回る。
まさに、がけっぷちからの再生である。

頭を抱えるヒカック氏。
呆然とするぼんじゅうる氏。
何が起きたのか信じられない様子の米将軍氏。
「すごーい!」という声が鳴りやまぬ中、勝利を確信するかのように腕を高々と掲げるドズル。
一代でドズル社を築き上げた彼の豪運を信じない奴いる?いねえよなあ!?
とはいえその一方で、楽屋裏では、ドズル社スタッフの動画撮影担当者が、前半終了時点でドズルの敗北を覚悟しつつ、万が一、海外にぶっとんだ場合に備えた各種調整を進めていた。これもまた紛れもない事実である。ガチイベントなので。
決して表には出せない、筆者が墓場まで持っていくべき裏話と言えるだろう。
一方、ぼんじゅうる氏は最も弱い「2」の目を連発するも、ここぞのチンチロで、それを下回ってしまったヒカック氏に勝利。
「なんで勝てたかわかんない」と本人も首をかしげつつの勝ち抜けであった。
派手な豪運で勝つドズルと、なんとなくぬるっと負けないぼんじゅうる氏。
まさに二人の人生が浮き出たようなチンチロといえよう。
結果、最終的に下位2名に残ったのは、米将軍氏とヒカック氏。
ファイナルのサシ対決が実施される。
ここで負けた側がファイナル罰ゲームとなるが、敗れたのは米将軍氏

罰ゲームは、なんとかぶっ飛びを回避し、「箱の中身はなんだろな」でBONさんの顔を撫で回す、という内容に落ち着いた。

終了後、楽屋で疲れ果てる米将軍氏に、「ゲストで呼ばれて、こんなひどい目にあわされて……もうやりたくないでしょう?」と水を向けると、
「僕たちはひりつきを求めてるんで。明日やりたい。」
と即答してくれた。明日…明日!?
ひりつきに魅入られた男たちは、勝っても負けても、その魔力から逃れられない。
危険中毒(スリル・アディクト)の男どもがいる限り、ひりつき勝負はきっとまたどこかで繰り返されるに違いないだろう。
【14日 3部】ドズル社5周年フェス みんなで乗り越えろ!5周年チャレンジ!!!

ドズル社メンバー5人、会場に集まった来場者、そして配信を見守る視聴者。
全員が“当事者”として参加する、5年間の歩みと絆を試すフィナーレ企画だ。
ステージに集結した5人。
「何をやるのか分からない」という不安と期待が入り混じる中、最終ステージがスタートする。
■ルール説明:60分以内に5チャレンジ成功せよ
用意されたチャレンジは全8種類。
内容はすべてブラインド形式で、選ぶまで中身は分からない。
・制限時間:60分
・目標:5つのチャレンジ成功でクリア
・一部チャレンジは会場参加型
最初に選ばれたのは、歴代動画のサムネイルを2021~2025年の順に並び替えるクイズ。

メンバー同士で相談しながら記憶を辿るが、意外と難しい。
「これ、結構最近じゃなかった?」
「いや、それはもう100万人行ってからじゃない?」
結果は、不正解。開始早々、貴重なチャレンジ枠をひとつ失ってしまう。
続いては、2020~2024年の「ドズル社流行語大賞」をすべて当てるチャレンジ。
5年分の記憶を総動員するも、なかなか答えが揃わない。とくに2021年の4位に大苦戦する。
最終的には会場の助けを借りつつ、「ちょいちょいクラロワ」をぼんじゅうる氏が回答し、見事クリア。
3つ目は、「会場の声量が110デシベルを超えたら成功」というチャレンジ。
ドズル社メンバーの『ドズル社!』コールに、会場全体が全力で『最高!』とレスポンス。

何度か挑戦した結果、ついに110デシベルを突破。会場の一体感を味方につけ、2つ目のクリアとなった。
その後も、
・メンバー5人の回答一致チャレンジ
・会場から「条件に合う1人」を探す企画
・ジェスチャーゲーム
・ストップウォッチで5秒ピッタリを狙う連続チャレンジ
・お絵描きしりとりチャレンジ
など、メンバー同士、そして会場との絆を武器に、 失敗と成功を繰り返していく。
そしてついに、5チャレンジ成功を達成。
最後は、サインをかけたじゃんけん大会へ。その激戦に、会場は最後の最後まで大盛り上がりとなったのであった。
イベントの締めくくりは、メンバー1人ひとりによる5周年コメント。
「本当にあっという間でしたね」
「ここまで来られたのは、応援してくれた皆さんのおかげ」
「これからも、みんなで歩んでいきたい」
若手のメンバーが5年間の重みをしんみりと語り合う中、ぼんじゅうる氏の番になった。
「長いのか短いのかわかりませんが、僕がおじいちゃんになっても…またみんなと一緒にゲームしたいです…」と言いながら言葉が詰まりはじめる。
会場中が戸惑いの空気に包まれる。
ぼんさん笑ってる…?
「きょとん」という言葉が天井から降ってきそうなほどに、いくつものきょとんが場に満ちた空間。
どうやら本気で泣いているらしいと会場が理解するより早く、いちばん近くにいたドズル氏が「なんで泣いてるんすか」とフォローに入る。
ぼんじゅうる氏は、感極まって泣いていたのである。
人の落涙をこんなふうに書いてしまって申し訳ないのだが、「卑怯道」でドズル氏を泣き落そうとするときと同じ泣き方で泣くぼんじゅうる氏サイドにも責任があると言えよう。
レビューを書く身としては「ぼんじゅうる氏の男泣きに、こちらの目頭も熱くなり、頬を伝うものがあった…」とでも書きたいところではある。
だが、流れないもんは流れないので、そこはもう、嘘はつけないので、仕方がないのである。
しかし隣のドズル氏が涙をこらえながらコメントをはじめ、会場中がやっと安心したようにすすり泣きの音が聞こえ始めた。
ドズル氏は一言一言、かみしめるようにことばを絞り出す。

「今回6ステージやってどれもすっごい楽しいステージで、なんかどうどれも全然違うんだけど、全部ドズル社らしいステージだったし、たくさんの人がね。見てくれたり駆けつけてくれたりしたし。なんか5年間頑張ってきてよかった。本当にいつもいつも活動していて、この仲間たちと一緒に活動できていて、本当に幸せだなと思うし。これからもみんなでね、歩んでいきましょう。本当にみんなありがとう。最高だ。ありがとう!!」
ラストは、会場全員で「ドズル社最高!」を叫ぶ堂々たるフィナーレとなった。
ステージ、客席、配信。すべてが一体となったその瞬間、ドズル社5周年イベントは、最高の形で幕を下ろしたのである。
そして最後に、2026年9月12日〜13日、京王アリーナでのイベント開催が発表された。
どよめくような歓声が会場中に響いたが、
もっと大きな声を上げていたのは、今回参戦を希望しながらもチケットが外れてしまった、画面の向こうの視聴者だったのかもしれない。
より多くの人の前に、来年、再び5人が立つ。
その未来が、ここで確かに告げられた。
ドズル社は、走り続ける。
止まらない。
そしてきっと、次もまた、我々に新しい景色を見せてくれるに違いない。
本稿でご紹介した「ドズル社5周年フェス」の模様は、2026年1月13日(火)までABEMA PPVで視聴チケットを販売中!